居酒屋によくいく人はもちろん、そうでない人やお酒に興味がない人でも知っているビールの呼び方に「とりあえず生」というものがありますよね。
その「とりあえず生」というビールがどんなものなのかという事について、この記事では掘り下げていこうと思います。
今夜のお酒の席で使える豆知識になる事ウケアイ!
という事で、よかったら最後まで読んでいってくださいね。
「とりあえず生=ピルスナー」
さて、早速ですが、「とりあえず生」は「ピルスナー」というビールの種類なんです。(厳密にいうと全部が全部ピルスナーではないのですが、そのあたりの細かい説明ははまた別のどこかで)
んじゃそのピルスナーってどんなビールなのかというと、おそらく多くの方がイメージする「ビール」のイメージ通りのものです。
「黄金色をしていて炭酸が強く、キンキンに冷やしてごくごく飲むのが美味しい」とされる、いわゆる「普通のビール」のこと。
最近の居酒屋や一般の小売店でシェアが多いのはアサヒの「スーパードライ」ですが、キリン一番搾りやサッポロ黒ラベル、サントリーのプレモルも全部ピルスナーです。
どのビールも普通にテレビを見ていたりスーパーなどの売り場を歩いていたら目に入る、誰でも知っているようなビールですよね。
これらのことからも、日本のビール業界ではピルスナーがシェア率No.1である事がよくわかると思います。
もちろん僕が大好きなビールの種類の一つでもあります。
(というか基本的になんでも好きなんですけどw)
ていうか、「ビールが好き」「ビール党」といっている人の多くが、実は「ピルスナーが好き」「ピルスナー党」であることを知らない場合もあります。
この事、よかったら次のお酒の席で隣の人にコッソリ教えてあげてください。

モルツもピルスナーですよ。
なぜピルスナーが「とりあえず生」なのか
ではなぜピルスナーを「とりあえず生」なんてい呼び方をするようになったのでしょう?
これは「とりあえずビール」という名称ですが、なんとWikipediaにその情報が載っていましたので引用してシェアしたいと思います。
とりあえずビールは、日本の宴会で見られる慣用句。「とりビー」と略称される。1955年(昭和30年)ごろからの高度経済成長に伴ってビールという飲み物が大衆化し、一般庶民へ浸透した。それまで良く飲まれていた燗酒に比べて短時間で供されることが受け、「宴会の席における最初の一杯」という意味合いを込めて、「とりあえずビール」という言い回しが用いられるようになった。近年ではこの「とりあえずビール」という用例が、ビールを好まない人への強制と捉えられる向きもあって、若い世代を中心に敬遠されつつある。Wikipedia「とりあえずビール」より引用
・・・だそうです。
てか、「とりビー」って初めて聞いた!
こういう表記があるということは、実は「とりあえず生」より「とりあえずビール」という表現の方がメジャーだという事なのかも。
まぁこの記事内では「とりあえず生」という表現で最後までいこうと思います。
話が少し逸れましたが、居酒屋で「とりあえず生」といってビールが出されるようになったのは、1950年代の高度経済成長の頃にビールが大衆向けの飲み物になってきたからという事。
確かに現代においてもビールは「酒(日本酒)」に比べてもっとポピュラーで庶民ぽい飲み物ではありますよね。
ビール会社の戦略でそういうふうにイメージづけされたという説もありますが、
- 熱燗に比べて準備に時間がかからない
- 空腹時に飲むので度数の低いものから口にした方が体に良い
などの理由でも「とりあえず生」が根付いていったんでしょうね。
どの理由もそれぞれ正解のように思いますし、実際に諸説あるという事なので、この際だから僕の中では全部正解という事にしたいと思います。
ラガーという発酵方法の一つがピルスナー
「とりあえず生」の理由が解決した(?)ところで、お次はピルスナーそのものについて解説します。
ビールは酵母を発酵させて造られるお酒なんですが、その発酵方法は大きく分けて2通りあります。
それは発酵させるためのタンク等の容器の上の方で発酵させるか、下の方で発酵させるかの違いです。
上の方で発酵させる方法を上面発酵といい、それを「エール」というふうにいいます。
そしてもう一つの方法は下面発酵といって、それを「ラガー」といいます。
ピルスナーはそのラガーの中の一つの種類なんですよ。
(ちなみに「種類」のことを「スタイル」といいます)
特徴はなんといっても飲んだ時の爽快感と苦味。
それからごくごく飲める喉越しの良さも大きな魅力の一つです。
というか、ビールが好きな僕の先輩に言わせると、
「ビールは喉越しが美味いんや!」
ということだそうです。
もはや、味じゃねぇ!!!
日本語って難しいです。
まぁそれも一理あって、例えばさっき書いた「エール」という発酵方法で作られたビールは喉越しよりも香りや深みのある味を楽しむのがメインとも言えます。
なのでエールをごくごく飲むというのには向かないし、はっきりいって勿体無いんですよね。
どうせエールを飲むなら香りや見た目を楽しみつつ、ゆっくり味わって飲んだほうがいいですね。
ピルスナーはそうではなく、勢いが大事なんですよ!
(注:香りや見た目も大事です)

グイグイ飲めるのがピルスナーの良いところです。
日本にピルスナーは合っているの?
ところでピルスナースタイルのビールは「日本」という土地柄に合っているのでしょうか?
もちろん好みは人それぞれとは思いますが、僕個人は「アリ」だと思いますね!
「とりあえず生」という言葉は四季を問わず使いますが、夏場の暑い日に冷えた生ビールを飲んだ時の美味しさはたまらんのです。
特に仕事の後やスポーツの後に飲むビールを超える飲食物がこの世にあるのかと思うほど。(大げさ)
さらに四季を問わずですので、もちろん冬場でも美味しく飲めます。
コタツに入って鍋をつつきながら飲むピルスナーがまた美味いんだこれが。
そんなわけで、いつ飲んでも常に美味いってわけですねw
そして意外な事にキンキンに冷やすよりも5℃くらいの温度で飲むのが適温なんですよ。
実はあまりにも冷たい温度のものを口にしても、人間の味覚では味を感知できないんです。
だから凍る寸前くらい冷たいビールを飲むよりも、それよりも幾分温度の高い5℃くらいのビールを飲む方がよっぽど美味しさを感じられるんですね。
・・・とは言っても「風情」というものもあるので、ジョッキが凍っているくらいの方が美味しそうに見えますし、実際に美味しく感じるものです。
(たとえ味を感知できなかったとしても。やはり日本語って難しいですw)
まぁこれは好みの問題ですからどちらでもいいと思いますね!
ピルスナーの種類
「ピルスナー」と一口にまとめても、実は細かく分類されているんです。
有名なのは「ジャーマンピルスナー」と「ボヘミアンピルスナー」と呼ばれるピルスナーの種類です。
①ジャーマンピルスナー
「ジャーマン」とはざっくりいうとドイツのことですね。
ということでドイツで主流になっているピルスナーがこれ。
ホップの苦味と爽快感を思い切り味わえるのがこのスタイルなんですが、日本のピルスナーの多くがこのジャーマンピルスナーをお手本にしてできているんですよ。
ところで、本場ドイツのビールは「マス」と呼ばれる1ℓのジョッキで飲むのがメジャーなサイズだそうです。
このマスを片手に4〜5杯ずつ持ってお客さんのテーブルまで運んだりするのがドイツの居酒屋店員のすごいところです。
僕には無理です。重たすぎて持てませんw
ちょっと話は逸れてしまいましたが、ドイツにおいて「とりあえず生」と注文したら、1ℓのマスが出てくるんでしょうかね?
ビール好きとしては、本場ドイツのビールは一度試してみたいですね!

わかりにくいですが、ドイツのマスです。
②ボヘミアンピルスナー
こちらのボヘミアンピルスナーはジャーマンピルスナーと違って苦味が少し弱めにできています。
ですからビールの苦味が苦手な人でも割と簡単に飲めてしまうのが特徴です。
そしてこのボヘミアンピルスナーこそが、世界で初めて作られたピルスナーだと言われています。
発祥国はなんとチェコ!
みさなんがチェコのイメージをどのように持っているかはわかりませんが、なんとチェコは国民一人当たり年間のビール消費量が世界一なんですよ。
その量は一人当たり142ℓ以上と言われています!(2015年データ)
日本は42.3ℓで55位という結果。
人口の違いやお酒の価格の違いはあるものの、単純計算で日本人の3倍以上はビールを飲んでいる事になります。
なぜチェコではそんなにビールが飲まれるのか謎でしたが、それがピルスナー発祥の地だからと言われればなんとなく理解できないでもないですよね。
そしてこの地で生まれた由緒ただしき「ファーストピルスナー」とも呼べるのが、「ピルスナーウルケル」という有名なビールです。

チェコのピルスナー・ウルケルは本当にうまい!
このビールこそが現代においてピルスナーが世界に広まる発端になったものです。
僕も実際に飲んだ事があるのですが、ボヘミアンピルスナーの特徴通り、苦味が強すぎず(むしろ甘みすら感じた!?)、とても美味しいビールでした。
もしまだ飲んだ事がないという人がいらっしゃいましたら、ぜひとも試していただきたいビールです。
ビール好き、いや、ピルスナー好きの方には一度は飲んでほしい。
そのくらいの価値はあると思ってます!
ピルスナーがビール界の主流
ところで、ビール界の主流になっているのは何と言ってもこのピルスナー。
苦味や爽快感があって飲みやすいので、ついついお代わりをしてしまいます。
そうなると自然と消費量も増えてきますよね。
そんなこともあってか、有名どころのビールは全部ピルスナーといっても過言ではありません。
記事の前半でも書いたように、日本のビールの有名なのは全部ピルスナーですし、それが外国であっても例えば
- アメリカはバドワイザーやミラー
- オランダではハイネケン
- 中国では青島
- ドイツではレーベンブロイ
などなど、世界各国で量産されて飲まれているのは全てピルスナースタイルのビールです。
だって作ったら売れますからね!w
外国のビールなのに聞いた事があるということは、それだけ有名で愛飲されているということの裏付けでもありますから。
ちなみに僕はアメリカのバドワイザーが好きです。
アメリカ人の友人は日本のスーパードライが好きだといってました。
お互いに無い物ねだりをしている感じですねw

スーパードライは代表的な日本のピルスナー!
まとめ
今回は居酒屋などでよく聞く「とりあえず生」という言葉から、ビールのピルスナーというスタイルについてまとめてみました。
少し長くなったのでおさらいしていきます。
- ピルスナーはいわゆる「普通のビール」のこと→「普通のビール」とは、黄金色で炭酸が強く、キンキンに冷やして飲むビールのこと
- 日本の大手メーカーの作る有名なビールは全部ピルスナー→しかし実はピルスナーというのはたくさんあるビールのスタイルの中の一つでしかない
- ピルスナーは日本という土地に合っているが、実は日本だけでなく世界中でシェアNo.1のビールのスタイル
- 「ピルスナー」自体も大きく分けて2種類あり、それぞれジャーマン(ドイツ)とボヘミアン(チェコ)のピルスナーと言われる(日本のピルスナーはジャーマンスタイル)
- 世界で一番最初に作られたピルスナーはボヘミアンスタイルの「ピルスナーウルケル」というビールで、発祥国は「国民一人当たりのビール消費量世界一」のチェコ
といったところでしょうか!
皆さん知らず知らずのうちにビールというよりピルスナーを楽しんでいるんですね〜。
そういえば、海外の人たちはビールのことを個別の銘柄で注文する事が一般的なんだそうです。
(「ヘイ、マスター!スーパードライをくれ!」みたいな感じです。)
日本人は「大将、とりあえず生!」と注文をするので、「トリアエズナマ」という銘柄のビールがあるのだと勘違いしている海外の人もいるそうです。
嘘か本当かわからない話しですが、あながちガセネタでも無さそうに思ってますw
ということで、この記事を読んだあなたは、今夜からは注文の時は個別銘柄で言うようにしてみてください。
また雰囲気が変わって面白いかもしれないですよw
とても長い記事になりましたが、いつも飲んでるビールの知識が少し増えましたね?
それによって今夜飲むビールがいつもより美味しく感じられるようになれば、この記事を書いた冥利につきるといったところです。
あ、そうそう。
もしよかったら、次回ビールの小売店に行った時に「ピルスナーウルケル」を買って飲んでみてください。
本当に美味しいので!
マジでオススメできるビールですよ!
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