こんにちは!
今回は病気の話です。
実は僕は2012年頃に「双極性障害2型」と診断され、当時働いていた会社を長期休職していたことがあります。
この双極性障害という言葉、聞いたことがある方もない方もいると思います。
読み方は、「そうきょくせいしょうがい」です。
自己紹介・・・ということでは無いのですが、今回はこの双極性障害という病気について少しご紹介したいと思います。
よろしければご一読ください!
双極性障害とは「躁うつ病」のこと
双極性障害というと、漢字が並んでいてよくわからない病気のように思いますが、もう少し俗な言い方をすると「躁うつ病(そううつびょう)」のことなんですね。
こういう表現をすると聞いたことがある方が増えるんじゃないでしょうか?
そして僕の場合は「2型」でした。
1型と2型は何が違うのかというと、躁とうつの「程度の差の大きさ」の違いです。
どのくらい、という数字のような明確な判断基準は無いようなのですが、2型の方が1型に比べてバランスが悪いんです。
1型は躁状態とうつ状態がナチュラルの状態から比べて同じくらいの振れ幅があり、
2型は躁状態が小さく、うつ状態が大きくなる振れ幅があります。
1型は、 「 ↑ ↑ ↓ ↓ ↑ ↑ ↓ ↓ 」
という具合に気分の上下が同じくらいの幅で順番に起こります。
2型は、 「 ↑ ↑ ↓↓↓↓ ↑ ↑ ↓↓↓↓ 」
という具合で上下が等間隔ではなく、浮きが小さく沈みが大きいそうです。
上矢印(↑)が「躁」で、下矢印(↓)が「うつ」を表します。
(わかりにくい表現ですみません。)
そして僕は2型でした。
「1型の方が振れ幅大きいから大変やん!」と思われる方もいらっしゃると思いますが、2型は上への振れ幅が小さい分、「それが双極性障害(病気)なのかどうかわかりにくい、気付かれにくい」という側面を持っています。
病気を患っているのに気がついてもらえないのって、苦しくないですか?
「躁」と「うつ」って具体的にどういう状態?
では次に、躁とうつが具体的にどういう状態のことをいうのか書き並べてみますね。
躁とは、いわゆる「ハイになる」というやつです。
これは単純に「めっちゃ元気になる」という一言で片付けられる説明ではありません。
細かく分析していくと、例えば
- 睡眠時間がものすごく少なくても疲れない
- 自分にとって都合のいいことばかりを考えるようになる
- お金の使い方が荒くなる
- やたらお喋りになる
- いろいろな考えが頭に浮かぶ
- 自分が偉くなったように思う
- 攻撃的になる
- 注意があちこちに逸れる
などなど・・・。
診察の際はこれらの振れ幅が大きいか小さいかという問診などをします。
次にうつですが、これはイメージでは「めっちゃ暗い状態」といったところだと思います。
これも細かく分析すると、
- 一日中気分が沈んでいる
- 今まで楽しめていたことが楽しめない
- 睡眠の障害が出る(眠れない、または眠りすぎる)
- 食欲の障害が出る(食べすぎる、または食べられなくなる)
- 話し方や動作が鈍くなる
- イライラして落ち着かない
- 自分に価値がないように思う
- 自分を責める
- (特に朝起きた時に)死にたい、消えてしまいたいと思う
などなど・・・。
書いてて辛いですね。
みなさんの抱くイメージ通りだと思いますが、気をつけるべきは睡眠障害と摂食障害です。
どうしても、「眠られない、食べられない」という部分にフォーカスしがちですが、その逆もうつの症状だということを覚えておいてくださいね。
双極性障害は、これらの症状が交互に現れる病気なんですね。
自分の人生を病気に邪魔される苦しみ
この病気、はっきり言って、めっちゃしんどいです。
今日は元気なのに明日はしんどい、明後日もしんどいけど明々後日はめちゃくちゃ元気!という感じで、自分の人生を病気に邪魔されることになります。
大抵は躁の時に翌日の突拍子も無い計画を立てたりするので、翌日がうつになるととてもその計画を実行できません。
(躁の状態の時に立てた計画はとても実行できないものが多いようですが。)
そうなるとうつの自分は「ああ、自分で決めた予定もこなせないダメなやつなんや・・・」と思うようになるんですね。
それが繰り返されることによって、自分の中でもワケが分からなくなり、自分は何がしたいのかわからなくなってきます。
そしてどんどん無気力になり落ち込んでいって、ある日また躁になってハイテンション!
・・・本当にしんどいです。

本当に疲れる・・・
周りの人はもっと大変
そして何よりもしんどいのは、その気分に振り回される周りの人なんです。
「昨日あんなに元気やったのに、今日になってなんでそんな落ち込んでるん!もうつきあってられへんわ!」
そう思われても仕方ないと思います。
幸い僕の周りにいる人はそのあたりに理解があり、上記のようなことを言われた記憶があまりないのですが、おそらく一般的には周りからのアタリは厳しいんじゃないでしょうか。
心療内科などで診察されるのですが、診察結果を持っていっても「病は気から」という言葉が背景にありますし、自分以外の周囲の人が心の底から理解するというのはかなり難しいのかもしれません。
気分の上下が激しい人が周りにいる人へ
他人の心の中まで見えませんから、その人がどういう状態なのか、苦しんでいるのかどうなのかというのは本当の意味で理解することはできないのかもしれません。
しかし、もし自分の周りに気分の上下が激しい人がいるのなら、その人はもしかしたら双極性障害で苦しんでいるのかもしれない、と思ってやってください。
そして、気分が落ち着いているように見えた時、心療内科の受診をそっと勧めてあげてください。
躁やうつのひどい時に勧めるのは逆効果になることもありますからとても難しいですが、近くにいる人はよく観察してあげてくださいね。
では自分の場合はどうだったのか?
それでは、僕の場合はどんな感じだったのかということを少しお話しします。
僕はもともと気分の振れ幅が割と大きい人間だったと思います。
(今もそうですが)
で、サラリーマン時代のことですが、仕事そのものは概ね順調にやってました。
自分で言うのもなんですが、特に大きな問題もなく、成績もそこそこ良かったと思います。
しかし、その「そこそこ良かった」のが問題だったのかもしれません。
会社では常に期待をされ(ていたように思う)、自分もそれに応えないといけないと思い、苦手な営業も自らツールを作ったり話し方の勉強をしたり。
また、新入社員の育成や少しデキの悪い(失礼)年配社員のフォロー、上司の仕事を半分請け負ったり、気難しいお客さんの相手やクレーム対応も率先して行っていました。
要するに会社の仕事は何でもやってました。
そういったことが精神的に負担になっていたこと、また同僚や良くしてくれた上司の方々とよく仕事帰りに飲みに行っていてアルコール摂取量が徐々に増えていったこと、
それに、コロコロ変わる会社の方針が納得いかなかくて自分自身不満がたまっていたことなどが積み重なっていました。
その頃のことを妻に聞くと、「何でもないことでよく怒っていたこと」が印象的だそうです。
気持ちが安定していなかったんでしょうね。
そしてその思いが鬱積していったある時、自分が何の感情も持っていないことに気がつきました。
表に出す感情がなくなり、何もしたくないと感じた時
僕はいろいろな事に興味を持つタイプで、それにいちいち感動することが多いんです。
例えば、大きな建物を見て「めっちゃおっきいな!すごいな!」と驚いたりとか、美味しいものを口にしたら「これめっちゃ美味いわ〜!」と言いながら笑っていたりとか。
「感情表現豊かな人」だと自分では思っていましたし、その感覚は大きく外れていないと思います。
しかし、その時の自分は完全な「無気力・無感動な人」でした。
多分、目つきも変わっていたと思います。
何もしたくなくなっていました。
そして何を見ても何を食べても何の感情もなくなっていたんです。
「これは、アカンわ。」
それに自分で気づけたことがすごいと思いますが、とにかくこれが俗に言う「うつ病」というやつだということに気がつきました。
診察の結果、うつ病から躁うつ病へ
そしてある日、心療内科に行ったんです。
血液検査と問診、それからペーパーテストのようなものを行って、結果は「うつ病」ということでした。
診察室で結果を下された後、しばらく先生と少し話していたと思います。
そして部屋を出ようとした時に、僕から先生に何かを伝えたんですね。
何を伝えたのか今となっては忘れてしまいましたが、そのとき言ったことが元で、先生が再診察してくれました。
その再診察の直後下された病名が、「双極性障害2型」というものでした。
その日に診断書を作成してもらい、会社に電話して3ヶ月休むことを伝えました。
今でもはっきり覚えているのですが、会社に病休をとることを伝える電話を切った瞬間の爽快感はすごかったです。
「ああ、これでしばらくはストレスの元になる場所に行かなくてもええんや!」と。
これはもしかしたら、その瞬間に躁うつが逆転していたのかもしれませんがw

気分サイコー!(本当にこんな感じでしたw)
なぜ診察途中で病名が変わったのか
上記の通り、僕は心療内科で診察を受けました。
その診察の中で、病名が変わっています。
これはなぜなのでしょうか?
2つの理由が考えられます。
1 心の病気は目に見えない
一つの理由としては、「心の病気は目に見えない」ということが挙げられます。
受診する側は問診やペーパーテストの解答の際、その時の気分である程度答えが変わってきます。
「◯◯の場合、あなたはどのように行動しますか?」という質問で、毎回完璧に同じ答えになる人ばかりではないということです。
「ある症状に当てはまる状態が2週間以上続く場合はうつと診断」などの診断基準はあるんですが、そもそもの回答自体があやふやでは、得られる結果も変わりますよね。
それに回答している側の気持ちは落ち着かないのですから、今日受けた質問と次の日に受けた同じ質問で全く同じ回答になるという事はあまり無いでしょう。
雑誌などに載っている心理テストも毎回結果が変わるということがあると思います。
それと同じですね。
もし算数のテストなどでは数字を扱っているので毎回同じ結果になるはずですよね。
それと違い、気分や考え方は、数字では表すことができないんですね。
2 双極性障害はうつ病から始まるから
もう一つの理由としては、「双極性障害はうつ病から始まるから」ということです。
全てがそうだというわけでは無いようですが、3分の2くらいの割合でうつ病の人が双極性障害になってしまうことた多いようです。
うつの状態だけを何度も繰り返したのちに、ある日突然躁状態になるというタイプがあるので、最初はうつ病と診断されても実は双極性障害だということもあるそうです。
つまり最初の問診やテストで診断しきれなかった部分がその後の会話で発見できたんでしょう。
それで鬱病から双極性障害に診断内容が変わったということだと思います。
ちなみに、双極性障害の原因はまだはっきりとはわかっていないそうです。
しかし、
- 育った環境や周囲から受ける慢性的なストレスが関係しているようだ
- 発症前の性格が社交的で周囲に対して心配りができ、ユーモアがあり、現実的な考えが強い性格を持つ人が発症することが多い
と言われています。
こういった危険因子が関係し、最終的には過度のストレスを受けたことや生活リズムの乱れがきっかけになって発症するといわれています。
「まさに自分のことやな・・・」て思った人、気をつけてくださいね。
まとめ
今回は僕の昔話を書いてみましたが、プラスになることはあったでしょうか?
あなたの周りには、毎日が苦しい、しんどい、何も感じない、という人はいませんか?
もしそんな人がいるのなら、上に書いたような躁状態・うつ状態の特徴を思い出してよ〜く観察してみてください。
そして苦しんでいるのがわかったなら、一度話を聞いてみてあげてください。
その原因になることがわかってきたら、思い切ってそれを避けるようにアドバイスしてみてはどうでしょう?
心に負荷がかかりすぎることは潔くやらない方向で考えてみるんです。
今の世の中、選択肢はいくらでもあります。
その悩みの根本から避けるように動いてみると、案外うまくいくこともありますよ。
僕の場合は休職の後に仕事を辞めたんですが、そこまでいかなくても、
- 嫌な仕事(残業など)は断る
- 苦手な相手との付き合いはしない
- 休日返上しての仕事はしない
など、自分の気持ち次第で回避できる方法はいっぱいあります。
自分の時間は自分のものであって、有限であり、嫌な物事に無限に使えるものではないんですから!
ただし、いきなり仕事を辞めるなどの極論に達する前に、必ず一度立ち止まってください!
突っ走りたくなる気持ちは躁の状態にある人に見られるパターンです。
病気の原因をしっかり見つめて、先のことを考えてから行動するようにするんです。
そうしないと後悔することが必ず出てきますので。
躁状態、うつ状態の人にそれを説明するのは難しいですが、落ち着いた頃にする話の一つとして、こういう考えを伝えてあげるのも良いと思いますよ。
精神の病気というのは最悪の場合、自ら命を絶つこともありますから、あなたやあなたの大事な人が、そんな悲しいことにならないように願っています。

明けない夜は無い!
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